LECの模試の通関実務第17問の濃縮果汁の問題、『関税評価ドリル』の問題518の濃縮液の問題がよく理解できないので調べてみました。
輸入貨物と「本質的に変化しない」「本質的に同一」かがポイントみたいです。
定率法基本通達4-8(3)
(3) 「輸入貨物に係る」特許権等の使用に伴う対価とは、輸入貨物に関連のあるものをいい、例えば、次のような場合における特許権等の対価をいう。
イ 特許権(実用新案権についても同じ。)については、輸入貨物が特許発明である物品(特許発明である物品の生産に専ら使用される部品、材料等を含む。)である場合、特許製法による生産物である場合、方法特許を実施するための物品である場合
ロ 意匠権については、輸入貨物が意匠(模様、形状等)を有している場合
ハ 商標権については、輸入貨物が商標を付したものである場合又は加工後に商標が付されるものである場合
ニ 著作権(著作隣接権についても同じ。)については、輸入貨物が著作権の対象を含んでいるものである場合(例えば、録音したテープに著作権の具体的内容である歌詞、旋律等が記録されている場合)
なお、特許権等のうち、上記に掲げるもの以外のものについては、上記に準じて取り扱うものとする。
輸入貨物の関税評価事例 : 税関 Japan CustomsにリンクされているPDF
関税評価に関する取扱事例 1~21(21が『関税評価ドリル』問題518)
https://www.customs.go.jp/kaisei/zeikantsutatsu/kobetsu/TU-H19z0876-1.pdf
関税評価に関する取扱事例 22~45(22~24が「輸入貨物に係る」ものではない事例)
https://www.customs.go.jp/kaisei/zeikantsutatsu/kobetsu/TU-H19z0876-2.pdf
↑ 上の事例に対する解説
社団法人 日本通関業連合会の会報No.111
p.23 特別連載 関税評価と事後調査第12回
「ロイヤルティー及びライセンス料について(その1)」
http://www.tsukangyo.or.jp/files/kaihou111.pdf
p.26(事例21の解説)より引用
輸入貨物である特許濃縮液(果汁)を単に水で希釈するという輸入後の加工は、輸入貨物自体の Identity(主体性)が存続しており、その加工はMinor(軽微)であって、その輸入貨物の本質が変更されていないという理由から、「輸入貨物に係るものである」との考え方がとられており、具体的には、輸入された状態で輸入貨物が使用、再販売され頒布された場合や輸入後若干の組立て等が行われ、その行為によって貨物の性質が変わらないといった場合には、「輸入貨物に係るもの」ということとなります。