ワリオの通関士勉強と趣味のブログ(Twitterは@warriooorz)

きびしい道でもゆっくり歩けば足跡が残る(by書道家・時重泰香)

映画『ハード・ウェイ』資料集⑬英語で観ると分かること、服の変化のこと

D:DVD吹替(翻訳:木原たかし、ニック:山寺宏一、モス:樋浦勉)

B:Blu-ray吹替(翻訳:松原桂子、ニック:宮川一朗太、モス:大塚明夫)

:日本語字幕(翻訳:戸田奈津子)

本:小説(J.R.ロビテイル/堀内静子 訳 二見文庫 1991)

 
❶ニックの緑系の服はたぶんピーターパンをイメージしてる

モスがニックから実弾入りの銃が欲しいと言われて、ブリックス部長にお守りを断りに行ったときのセリフの中に、「ネバーランド」が出てきます。

「He doesn't belong here. He belongs in never-never land,...」

ちなみにBlu-rayでは「遊園地」と言っています。英語で観て初めて「ネバーランド」と言っていることを知りました。きっとニックの外見と緑系の上着を見てピーターパンみたいだと思ったんでしょう。

空港にいた時の上着は、淡緑色に見えます。ハリウッドという「ネバーランド」に帰るという意味も込められていたのかもしれません。モスと暮していた間はモスと同じ紺や黒系の服を着ていましたからね。

 

ところで、ニックとモスの服の変化には意味がある気がします。

ニックが買って着ていた服、モスが着ている服の系統に似てると思います。実は服装まで真似ているんです。

あと、モスがクライマックスで、紺や黒系ではなく白いシャツとジーンズを着ているのは、心を開いたことを象徴している気がします。一方ニックは、いったん緑系に戻ったのに、クライマックスでは濃い青のシャツ(ボタンの所の一部が緑)を着ています。モスと共に最後まで戦うという決意の表れのように見えます。

 

skinnailはキーワード

  • ニックがアンジーに、モスと寝食共にすると言った後のセリフ

If I can taste his world, if I can walk his beat, if I can get under his skin, I will nail this part.

D:彼とパトロールして、彼の生の世界を体験して、それを刑事の役に生かすんだよ。これぞリアリズムさ!

B:彼の全てを研究してやる。あの男になりきることができれば、レイ・カサノヴはぼくのものだ。

字:彼にベッタリくっついて学び、この役をモノにしてやる。

本:ジョン・モスになりきれれば、あの役をもらえる!

 

get under one's skinには3つの意味があります。

  1. (人)の皮膚の下に入る
  2. (人)をイライラさせる
  3. (人)の心を強く捕らえる、(人)を魅了する、(人)に興味を起こさせる

2と3は正反対の意味ですが、どっちも翻訳とは合ってない気がします。

under the skinには「本当は、本性は、心の中は」という意味があります。

モスの本性を掴む、とか、まるで皮膚をかぶるように「なりきる」という意味合いでskinを使っているのでしょうか。

 

このセリフに関連して、またskinが出てきます。

 

  • フロッグドッグのところでモスが長台詞を言う直前のやりとり

ニック「I just wanna know what it feel like to be inside your skin.」

モス「I don't want you inside my skin!」

D:「あんたの心の奥底を知りたいんだ」「お前になんか知ってもらいたくない!」

B:「ジョン・モスの全てを知りたいんだ」「なんでお前に全てをさらけ出さなきゃならないんだ!?」

本:「警官になるってことが、ほんとうに何を意味するのか知りたいんだ。きみの身体のなかに入りたい」「聞けよ、このバカやろう!おれの身体のなかに入られてたまるか」

 

inside one's skinunder one's skinと違って、心理的な意味はないのか、「肌の中」という意味しか見当たらないです。小説ではもろに「身体のなか」と言っているので、そりゃモスが”何か腐ったものを嗅いだような、奇妙な表情”を浮かべて爆発してもしょうがないです。吹替ではうまく意訳してますね。

 

もう1つのキーワードnailはクライマックスのやりとりに再び出てきます。

ニック「You think I would have got it?」

モス「Yeah, pal. I think you would have nailed it.」

※モスが初めてpal(相棒)と呼ぶのが感動的です。

D:「ぼくに決まるかな」「大丈夫だ。デカの保証付きさ」

B:「モノにできるかな」「もちろんだ。お前しかいないさ」

字:「モノにしたい」「大丈夫。役はもらえるよ」

本:「あの役をもらえたと思うかい」「くそっ。そう思うよ。きっともらえた」

 

nailの本来の意味は「釘を打つ」ですが、スラングで何かを「完璧にできる」という意味があり、You nailed it.は「言うことなし」「完璧だったね」「最高だったよ」という意味です。

ニックとモスに同じ単語を使わせているのはきっと意図的だと思います。

 

❸吹替では分からないクライマックスのモスのささやき

上のセリフの後、痛がるニックを一生懸命励ますモス。吹替でも感情がよく伝わってくるんですが、赤の部分を英語で聞いたら、さらに感情が伝わってきす。ここだけささやくように言ってるんです。

Hold on, Nick. Come on, man. Just hold on.

D:頑張れぇ、すぐ手当てしてやるぞ。

B:しゃべるな。じっとしてろ。

字:しっかり。しっかりしろ。

 

ハニーと呼ばれて

バーでニックがスーザンになりきって、モスに心を開かせる特訓をしていたとき、途中でモスが突然ハニーと呼びます。

モス「Look,」

スーザン「Ah」(ワインから口を離して振り向く)

モス「honey.」

スーザン「(一瞬固まる)"Honey's" good.」(D:いい感じね。)

そう言ってワインを飲みながら横目でチラッともう一度モスを見るニックが面白いです。心の中で「え?どうしたモス?」ってびっくりしてるんだと思います。

ちなみにハニーは、外見が可愛い人なら男女問わず使えるそうです。ダーリンはもっと親密な関係。

 

リズミカルで歌のような台詞

  • Oh, don't you take that tone with me.(D:あたしにどならないで)

スーザンになりきったニックのセリフ。2つの音くらいでジグザグなメロディーで言ってます。太字が高いほうの音。このセリフが一番好き。思わず真似したくなります。

 

  • Bye. Keep your little Dobonnet. I'm gone.(D:甘いワインでも何でも飲んでろ)
モスのセリフ。リズミカルで面白い言い方です。
 
「Son of a bitch.」というセリフが何回も出てくる
「くそったれ」「くそ野郎」という意味の汚い言葉です。モスもニックも使っていますが、我々日本人が実際に使うのはやめましょう。他のスラングもです。