『ハード・ウェイ』J.R.ロビテイル/堀内静子 訳 二見文庫(1991)
帯に「映画化」と書いてあるので、てっきり原作だと思っていたら、違った。なので前回までの記事の「原作小説」を「小説」に訂正。
扉ページの裏にこう書いてあったから原作でないことに気づいた。
A novel by J. R. Robitaille
Based on a screenplay by Daniel Pyne and Lem Dobbs
Story by Lem Dobbs and Michael Kozoll
レム・ドブスさんとマイケル・コゾールさんがストーリーを考え、ダニエル・パインさんとレム・ドブスさんが映画の脚本を書き、それをベースに小説化したのがJ. R. ロビテイルさんというわけだ。
原作ではないのに映画と違うところがあって、人物名やクライマックスまで違うってどういうこと?。それに、映画では省略されているシーン(代車の手配、ド派手な車を恥ずかしがるニック、アパートに来る前の買い物、人を殺したと思わされてショックで何もできなくなるニックなど)を補ったり、映画のそれぞれのシーンをもっと長くしたり、殴るシーンにスーザンとのランチの誤解を解くやり取りがあったり。
まるでファンが書いた二次創作に近いテイスト。ワリオが二次創作で書きたいと思っていたことを全部、いや、それ以上のことを書いてくれている。
きっとロビテイルさんも映画を観て、「ここを補いたい」「ここはこうしたほうがいい」という熱い思いに駆られたんだろう。特に、スーザンとのランチの誤解を解くやり取りに、それを強く感じた。やっぱり、誤解したままじゃ嫌だもんね。